蒸気はどこから入って、どこへ出ていくか
上のモデルは、はじめから半分に切ってあります。まず「再生」を押してください。
ここでは、色がそのまま「押す力の強さ」です。濃い(暗い)ほど強く押しています。 色が見分けにくいときは矢印の向きを見てください。部屋に入っていく矢印なら、いま蒸気を入れているところ。出ていく矢印なら、使い終わった蒸気を捨てているところです。
- いま押している蒸気。濃いほど強い
- その途中
- 力を使い終わった蒸気
- 灰色の切り口=動かない部品
- 黄色の切り口=動く部品

ボイラーで作った蒸気は、上の管から(弁が入っている箱)に入ります。ここはいつも蒸気でいっぱいです。
そこからが開けた穴を通って、蒸気はの片側だけに流れこみます。押し終わった蒸気は、反対側の穴から下の管へ出ていきます。
が出るのは、道が開いているあいだだけです。
1 個の弁が、入口と出口を同時に切り替える
弁の外側のふちが片方の穴を開けた、まさにその瞬間に、弁の内側のくぼみが反対側の穴を出口につないでいます。入れる穴と出す穴が、いつも反対どうしの組になる。 だから弁は 1 個で足ります。
まん中の絵を見てください。弁のふちが、穴のふちより少しだけ外まで届いています。この「のりしろ」があるおかげで、蒸気を入れる穴が両方とも閉じている時間が生まれます。機械の言葉ではラップといいます。
閉じているのは入口だけです。出口のほうは、弁がまん中を通り抜ける一瞬しかふさがりません。蒸気を閉じこめておくのは入口の役目で、出口はできるだけ長く開けて、反対側の部屋を早く空にしたいからです。
1 まわりのあいだに起きる 4 つのこと
ここからはだけを見ていきます。「再生」の横のつまみを動かせば、同じ順番をモデルでも追えます。




穴が閉じるのは、ピストンが行ききるよりだいぶ手前です。早く閉じるほど「ふくらむ」時間が長くなり、同じ量の蒸気でたくさん働けます。
前の部屋も、半周ずれて同じことをしています。だからピストンは行きも帰りも押されます。
弁はピストンより先に動く
弁を動かしているのは、動輪と同じ軸に付いたです。クランクピンより先まわりした向きに付けてあります。
そのおかげで、ピストンが行き止まり(死点)に着いたときには、次に押す側の穴がもう開いています。着いてから開けたのでは間に合いません。ここを遅らせると、機関車は止まってしまいます。
この往復が、動輪を回している

は、片方のはしが車輪といっしょに円を描き、もう片方のはしはまっすぐにしか動けません。その食い違いを、棒が首を振って吸収します。そのとき出る横向きの力はが受け止めます。
は、すべらずに転がります。だから回った角度が、そのまま進んだ距離になります。が後ろへ流れていくのは、本当にそのぶん進んでいるからです。
この機械には、勢いをためておく重い円板(はずみ車)がありません。
実物では、片側が行き止まりで力を出せないとき、反対側がちょうど一番強く押しています。だから、どこで止まっても動き出せます。が 2 本の車軸を同じ向きのまま結ぶので、どの動輪も同じように回ります。
自分で自分の弁を動かしている
外から指図している装置は、どこにもありません。回った結果が、次にどちら側へ蒸気を入れるかを決めている。 自分で自分を動かし続けているのです。
実物と変えたところ
- 偏心輪を台枠の外に出しました。 実物は内側で、外からは見えません。
- 排気管は下へ短く出しただけです。実物は煙突から吹きます。あの「シュッ、シュッ」は排気の音です。
- 大きさは実物のおよそ 10 分の 1 です。モデルが回る速さは、実物に直すと人が早足で歩くくらいにあたります。
- 反対側のシリンダーと弁は作っていません。 モデルの反対側にあるのは動輪 2 枚と連結棒だけです。視点を回しても 2 組目は出てきません。上の直角の図は、実物の話です。
- シリンダーが動輪の後ろに付いているので、このモデルは実物でいうバックの向きに走ります。
モデルの上に出ている印も開いてみてください。じゃまなときは「注釈」ボタンで消せます。
部品の説明
ビューアの部品ボタンと同じ並びです。
- 動輪
- レールに接して転がる車輪。すべらずに転がるので、1 回転すると円周のぶんだけ進む。
- 連結棒(サイドロッド)
- 2 本の車軸のクランクピンを、同じ向きのまま結ぶ。だから棒は傾かずに円を描く。
- 主連棒(メインロッド)
- 片方のはしは円を描き、もう片方はまっすぐしか動けない。首を振って、その食い違いをつなぐ。
- クロスヘッド
- 主連棒が首を振ると出る横向きの力を、滑り棒が受け止める。だから棒はまっすぐ動ける。
- ピストン
- 前と後ろ、どちらの面にも蒸気が当たる。だから 1 回転で 2 回押される。
- 前と後ろの部屋(蒸気)
- ピストンで仕切られた 2 つの部屋。色が押す力の強さで、赤いほうが押している側。
- 蒸気の流れ
- 矢印が出るのは、道が開いているあいだだけ。赤が入る蒸気、青が出ていく蒸気。
- シリンダー
- 筒の厚みの中に、弁の面から両はしへ回りこむ蒸気の道が通してある。
- 滑り弁(D弁)
- 伏せた箱が、平らな面の上をすべる。外側のふちで片方に蒸気を入れ、同じ瞬間に内側のくぼみが反対側を出口につなぐ。
- 蒸気室
- ボイラーからの蒸気で、いつも満たされている箱。滑り弁はこの中に沈んでいる。
- 偏心輪と偏心棒
- 中心をずらして付けた円板。小さなクランクとして働き、弁を往復させる。
- 弁棒
- 偏心棒の動きを、蒸気室の中の滑り弁まで伝える棒。
- 台枠
- 動輪とシリンダーの位置関係を狂わせないための板。この上にボイラーが載る。
- レールと枕木
- 動輪の相手。すべらずに転がるから、回った角度がそのまま進んだ距離になる。
