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Seeworks身のまわりの仕組みを、動かして見る

Tier 1 ・ 剛体リンク・単純

蒸気機関車のシリンダーと動輪

蒸気機関車は、いま自分が回った向きを見て、次に蒸気を入れる側を自分で決めている。

公開 ・ 更新

蒸気機関車のシリンダーと動輪の3Dモデルの静止画

ドラッグで視点、ホイールで拡大縮小。再生・断面・部品の切り替えはビューアの操作から。

蒸気はどこから入って、どこへ出ていくか

上のモデルは、はじめから半分に切ってあります。まず「再生」を押してください。

ここでは、色がそのまま「押す力の強さ」です。濃い(暗い)ほど強く押しています。 色が見分けにくいときは矢印の向きを見てください。部屋に入っていく矢印なら、いま蒸気を入れているところ。出ていく矢印なら、使い終わった蒸気を捨てているところです。

  • いま押している蒸気。濃いほど強い
  • その途中
  • 力を使い終わった蒸気
  • 灰色の切り口=動かない部品
  • 黄色の切り口=動く部品
上の管から入った蒸気が弁の箱を満たし、後ろの部屋を濃い赤にして、前の部屋から下の管へ出ていく断面
上の管から入って、下の管から出る。濃い赤の部屋がいま押している側、明るい青の部屋が蒸気を捨てている側。

ボイラーで作った蒸気は、上の管から(弁が入っている箱)に入ります。ここはいつも蒸気でいっぱいです。

そこからが開けた穴を通って、蒸気はの片側だけに流れこみます。押し終わった蒸気は、反対側の穴から下の管へ出ていきます。

が出るのは、道が開いているあいだだけです。

1 個の弁が、入口と出口を同時に切り替える

蒸気室(いつも蒸気でいっぱい)ボイラーから滑り弁後ろの部屋へ前の部屋へ出口の管へ
弁が右いっぱい。左の部屋の穴が蒸気室につながって蒸気が入り、右の部屋は弁のくぼみを通って出口へ抜ける。
のりしろ後ろの部屋へ前の部屋へ出口の管へ
弁が中央。弁のふちが穴のふちより外まで届いているので、蒸気を入れる穴 2 つは、弁がこのあたりにいるあいだずっと閉じたまま。出口までいっしょにふさがるのは、弁がここを通り抜ける一瞬だけ。
後ろの部屋へ前の部屋へ出口の管へ
弁が左いっぱい。入口と出口がそっくり入れ替わる。動いた部品は弁 1 個だけ。
弁がすべる面を、横から見た図。形の比はモデルと同じ。出口の道は、ほんとうは筒の横を回りこんで下の管へ抜ける。

弁の外側のふちが片方の穴を開けた、まさにその瞬間に、弁の内側のくぼみが反対側の穴を出口につないでいます。入れる穴と出す穴が、いつも反対どうしの組になる。 だから弁は 1 個で足ります。

まん中の絵を見てください。弁のふちが、穴のふちより少しだけ外まで届いています。この「のりしろ」があるおかげで、蒸気を入れる穴が両方とも閉じている時間が生まれます。機械の言葉ではラップといいます。

閉じているのは入口だけです。出口のほうは、弁がまん中を通り抜ける一瞬しかふさがりません。蒸気を閉じこめておくのは入口の役目で、出口はできるだけ長く開けて、反対側の部屋を早く空にしたいからです。

1 まわりのあいだに起きる 4 つのこと

ここからはだけを見ていきます。「再生」の横のつまみを動かせば、同じ順番をモデルでも追えます。

穴が開いて後ろの部屋が濃い赤になり、赤い矢印が流れこんでいる
① 入れる 穴が開いて、部屋が蒸気でいっぱいになる。
後ろの部屋の穴が閉じ、そこにつながる矢印は無いのに部屋はまだ赤い。右の前の部屋は青く、そこから出ていく青い矢印が 3 本ある
② ふくらむ 穴が閉じた。矢印は消えたのに、部屋はまだ赤い。閉じこめられた蒸気が、ふくらみながら押し続けている。青い矢印は、同じ瞬間に蒸気を出している反対側の部屋のもの。
後ろの部屋が青くなって青い矢印が出ていく。前の部屋は赤に変わっている
③ 出す 弁のくぼみが出口につながって、一気に青。同じ瞬間、前の部屋が赤くなっている。
後ろの部屋の 2 つの穴が閉じ、そこにつながる矢印が 1 本も無い。右の前の部屋は青く、そこから出ていく青い矢印が 3 本ある
④ ちぢむ 2 つの穴がどちらも閉じて、この部屋につながる矢印が 1 本も無くなった。逃げ場を失った蒸気が押しちぢめられ、次に入ってくる蒸気の座ぶとんになる。青い矢印は反対側の部屋のもの。
後ろの部屋の 1 往復。①②③④ は、下の帯に付けた印と同じ場面。
①②③④後ろの部屋弁の開き入れるふくらむ出すちぢむ前の部屋弁の開き入れるふくらむ出すちぢむ00.250.50.751行き止まり行き止まり1 回転ぶん
動輪 1 回転ぶんの圧力。帯の色はモデルで使っている色そのもの。上の細い棒は弁の開き具合で、棒が消えているあいだは穴が閉じている。そこが「ふくらむ」と「ちぢむ」。

穴が閉じるのは、ピストンが行ききるよりだいぶ手前です。早く閉じるほど「ふくらむ」時間が長くなり、同じ量の蒸気でたくさん働けます。

前の部屋も、半周ずれて同じことをしています。だからピストンは行きも帰りも押されます。

弁はピストンより先に動く

クランクピン偏心輪先まわりいまピストンは行き止まり弁もう開いた着いた時にはもう、次に押す側の穴が開いている。
偏心輪は、クランクピンより先まわりした向きに付けてある。

弁を動かしているのは、動輪と同じ軸に付いたです。クランクピンより先まわりした向きに付けてあります。

そのおかげで、ピストンが行き止まり(死点)に着いたときには、次に押す側の穴がもう開いています。着いてから開けたのでは間に合いません。ここを遅らせると、機関車は止まってしまいます。

この往復が、動輪を回している

動輪 2 軸・連結棒・主連棒・クロスヘッドとシリンダーがレールと枕木の上に載っている全景
ここまでの筒は、機関車の下回りの一部。往復はこのまま動輪に届いている。

は、片方のはしが車輪といっしょに円を描き、もう片方のはしはまっすぐにしか動けません。その食い違いを、棒が首を振って吸収します。そのとき出る横向きの力はが受け止めます。

は、すべらずに転がります。だから回った角度が、そのまま進んだ距離になります。が後ろへ流れていくのは、本当にそのぶん進んでいるからです。

この機械には、勢いをためておく重い円板(はずみ車)がありません。

こちら側軸を通る向き=回らない反対側直角の向き=よく回るずれているのはクランクの向きだけ
実物は反対側にもう一組そっくり同じ仕掛けを持っていて、クランクの向きが直角にずらしてある。このモデルで反対側に作ってあるのは動輪と連結棒だけ。

実物では、片側が行き止まりで力を出せないとき、反対側がちょうど一番強く押しています。だから、どこで止まっても動き出せます。が 2 本の車軸を同じ向きのまま結ぶので、どの動輪も同じように回ります。

自分で自分の弁を動かしている

蒸気室滑り弁前後の部屋蒸気ピストン主連棒動輪偏心輪回る回った角度が次に入れる側を決める動輪が 1 回転すると、この輪もちょうど 1 周する
赤い矢印が蒸気の流れ、黒い矢印が力と動き。ぐるりと一周してつながっている。

外から指図している装置は、どこにもありません。回った結果が、次にどちら側へ蒸気を入れるかを決めている。 自分で自分を動かし続けているのです。

実物と変えたところ

  • 偏心輪を台枠の外に出しました。 実物は内側で、外からは見えません。
  • 排気管は下へ短く出しただけです。実物は煙突から吹きます。あの「シュッ、シュッ」は排気の音です。
  • 大きさは実物のおよそ 10 分の 1 です。モデルが回る速さは、実物に直すと人が早足で歩くくらいにあたります。
  • 反対側のシリンダーと弁は作っていません。 モデルの反対側にあるのは動輪 2 枚と連結棒だけです。視点を回しても 2 組目は出てきません。上の直角の図は、実物の話です。
  • シリンダーが動輪の後ろに付いているので、このモデルは実物でいうバックの向きに走ります。

モデルの上に出ている印も開いてみてください。じゃまなときは「注釈」ボタンで消せます。

部品の説明

ビューアの部品ボタンと同じ並びです。

動輪
レールに接して転がる車輪。すべらずに転がるので、1 回転すると円周のぶんだけ進む。
連結棒(サイドロッド)
2 本の車軸のクランクピンを、同じ向きのまま結ぶ。だから棒は傾かずに円を描く。
主連棒(メインロッド)
片方のはしは円を描き、もう片方はまっすぐしか動けない。首を振って、その食い違いをつなぐ。
クロスヘッド
主連棒が首を振ると出る横向きの力を、滑り棒が受け止める。だから棒はまっすぐ動ける。
ピストン
前と後ろ、どちらの面にも蒸気が当たる。だから 1 回転で 2 回押される。
前と後ろの部屋(蒸気)
ピストンで仕切られた 2 つの部屋。色が押す力の強さで、赤いほうが押している側。
蒸気の流れ
矢印が出るのは、道が開いているあいだだけ。赤が入る蒸気、青が出ていく蒸気。
シリンダー
筒の厚みの中に、弁の面から両はしへ回りこむ蒸気の道が通してある。
滑り弁(D弁)
伏せた箱が、平らな面の上をすべる。外側のふちで片方に蒸気を入れ、同じ瞬間に内側のくぼみが反対側を出口につなぐ。
蒸気室
ボイラーからの蒸気で、いつも満たされている箱。滑り弁はこの中に沈んでいる。
偏心輪と偏心棒
中心をずらして付けた円板。小さなクランクとして働き、弁を往復させる。
弁棒
偏心棒の動きを、蒸気室の中の滑り弁まで伝える棒。
台枠
動輪とシリンダーの位置関係を狂わせないための板。この上にボイラーが載る。
レールと枕木
動輪の相手。すべらずに転がるから、回った角度がそのまま進んだ距離になる。